グレース・マクダニエルス

Grace

「彼女の顔はまるで赤い生肉のようだ。彼女の巨大な顎はねじ曲がっていて、口を動かすこともままならない。彼女の歯は不揃いで鋭く、鼻は大きくてひん曲がっていた。特に口のせいで、彼女の顔はそう・・・まるでラバのような外見だったね。目は深い眼窩に沈み込んでいた。とにかく全てにおいて、恐ろしい顔だったよ」

-- ハリー・ルイストン(サイドショー興行師)

「理由はわからないが、彼女はとにかくたくさんの男達を夢中にさせた。恐ろしい程の顔つきなのに、数え切れない数の男が彼女にアプローチした。そして彼女はその中で一番若くてハンサムな男と結婚したんだ」

-- エドワード・マローン(フリークス研究者)

"ラバ女"とまで呼ばれたグレース・マクダニエルスは1888年、アイオワ州ニューマ近郊で普通の家庭に生まれた。彼女はある日、「醜い女性コンテスト」に出場し、見事優勝してからサイドショーに参加することになった。彼女の顔は濃い紫色の痣があり、それが肥大化して彼女の顔を覆っていた。彼女は"人を気絶させる"とまで言われたその容貌にもかかわらず、内面は非常に穏やかであり、多くの男性からアプローチを受ける愛すべき女性であったという。

彼女の事をよく知るドリー・レーガンはグレースをして"世界一親切な女性"言っている。彼女はサイドショーに出演し、それを自ら愉しむ傍ら、料理や掃除といった家事を愛する良き母親でもあった。グレースは1958年にこの世を去っている。また1950年にはグレースの自伝的映画が制作されたが、なぜか公開されていないまま今日に至っている。