ジャン・リベラは腹部に非常に良く発達した寄生性双生児をもっていた。ジャンはその双子をジャックスと名付け、サイドショーに出演した。双子はそれぞれ感覚を有する二本の腕と足を持ち、ジャンの腹部にはほど未発達のジャックスの頭部が存在したとも言われている。リベラが死亡したのは1934年、50歳のときであった。
彼について記されたパンフレットには、ほぼ次のように記されている。
「ジャン・リベラは1884年、イタリア、ローマに生まれた。彼らの家族はジャンを除き、外見的にも、また性格的にも全く"普通の人々"だった。ジャンは多くのイタリアの家庭と例に違わず、13人兄弟という大家族の4番目として生まれた。伝えられるところでは三番目の兄弟がジャンと同じような姿形(即ち寄生性双生児)であったが、彼は誕生後すぐに死亡した。
リベラはそのお腹に双子の兄弟がはまりこんでいることを除けば、全く普通の好青年だった。お腹の双生児はその身体こそ小さかったが、手足は爪の先まで完全なもので、骨格はたくましいものだった。また血流や栄養分はリベラの身体から提供されており、二人の感覚は共有されていた。ジャックの身体に誰かが触れると、リベラはそれを感じることが出来た。
リベラの驚くべき身体は、おそらく元は双子であったことを示唆している。しかし、いかなる力によるものか、二人の身体は結合され、母親は一人でもなく、しかし二人とも言えない、その不思議な姿の子を産んだのであった。科学的な視点から言うならば、彼らの身体はおそらく一つの卵の中に二つの胚が存在したのだろう。
ジャン・リベラはアメリカやヨーロッパの医師達の好奇を引きつけた。パリではポニエル教授がリベラを研究し、「これまで前例のない驚くべき異常」として学会に紹介している。またコローニュにおいては、バーデンヘイマー博士がX線を用いた本格的な検査を行い、リベラの腹部には直径15cm程度の双子の未発達の頭部が存在したことを報告している。
近年、ベルギーのガンド大学教授、ヴァン・デイス博士はこうした症状を心窩部寄生(EPIGASTRIC PARASITE)と命名している」
ちなみに成人したリベラは妻をめとり、4人の子供達の父親となっている。