メイ・ジョー

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「もっとも偉大なる自然の珍奇。その双生児は1905年10月16日、オハイオ州のアッシュランド・カウンティーで生まれた。彼の本名はジョージ・フランシス・エシンガー。しかし少年は1906年、両親のボルスとスタートゼルによって、フリークショー"世界の驚異"へと紹介され、新たにメイ・ジョーという名を与えられた。"メイ・ジョーは男の子であり女の子。そして三本の足に15本の足指、二つの体に二つの胃、二つの腎臓を持っているが、一つの頭と一つの胴体しかない・・・。彼/彼女は非常に聡明であり、医師はメイ・ジョーをして二人分の知性を持っている、と評した」

以上は1909年のフリークショーで売られていたプロマイド写真に添えられた彼を紹介する言葉である。

メイ・ジョー(彼は更にジョー・パール、ジョセフィーン・パールとエルシー・リンなど他にも多くの名で知られていた)に関するこの"男の子にして女の子"という宣伝文句は、おそらくサイドショー特有のバカげた誇張であると思われていた。しかし幾つかの写真(特に彼の成長後の写真)について言えば、確かにメイは筋肉質の体に美しい顔という、両性具有者にしばしば見られる特徴を備えていたことは、事実なようである(以下、便宜的にメイ・ジョーを"彼"と呼ぶことにする)。

メイ・ジョーが生まれて数年の間だ、彼は男の子として育てられていた。1910年の新聞には彼の事は次ぎのように記されている。

「(コロンブス、1909年4月10日付け)この度、人権団体はコロンブスで4歳の両性具有者にして三本足の所有者、レスター・エルハンガーを見世物として展示することを禁止した。両親はその子供を一般に公開しようとしたが、コミュニティから拒否された。しかしその子供はこれまでにもJ・A・リベル医師によってスターリング・オハイオ医科大学に招待され、見世物とされていたのだ。その子供はまさに自然の珍奇と考えられたからである。

ウースター(オハイオ)在住のある女性が、怪物のごとき存在が広場で見世物になっていたとして、フリーマン市長に強い抗議を行った。その怪物は男と女が交じりあった体の上に、一つの頭を持つ、三本足の生物だった。その見世物の入り口には"彼または彼女、あるいは"あれ"は生きている!"と禍々しい注意書きが置かれていた。

要求を受けた市長は、今後そのショーを実際に見に行き、それが不道徳的なものであるかどうかこの眼で判断する、と話している。少年は3歳から5歳、簡単な言葉を喋ることができるが、足は弱っているため、立つことはままならいと言われる」

残されたこれらの記述からのみでは、一体メイ・ジョーが本当に両性具有者であったのかどうか、今日明らかにする事は難しい。しかし可能性という点で考えるならば、寄生性結合と両性具有の症状が合併して生まれることは、確率的にあり得ないことではないと言われている。