ガンガ・モンダル、ヤムナ・モンダル

Mondal Twins 2003

ガンガ・モンダルとヤムナ・モンダル姉妹は、1969年(または1970年)、インドの西ベンガルにてアヤラとジャヤラの間に産まれた。二人は坐骨-臍帯結合型の双子として産まれ、それぞれ独立した心臓と腎臓、四本の腕と三本の足、ひとつの肝臓とひとつの生殖器官を持っていた。しかし三本目の足は使われずに退化していたため、二人は常にその足を衣服の中にしまっていたという(※上の写真では、一見すると分かりづらいが、向こう側に足があるのが見える)。二人は立つことは出来たが、歩くことはままならず、地面を手足で這うようにして移動した。そうした移動様式から、サイドショーで働くようになって以来、二人に付けられた渾名は"蜘蛛少女"だった。

ガンガとヤムナとは、インドに流れる聖なる二つの川、ガンジス川とヤムナ川に由来している。しかし二人がサイドショービジネスで見世物として働くようになって以来、その名は"神聖に過ぎる"として、改名した。(彼女たちのほかに、1999年に誕生したガンガとヤムナという同名の頭蓋結合双生児がネパールに存在するが別人物である)

二人は叔父が仕切るサイドショーの中で、チャロピー(簡易寝台)の上に寝かされた状態で見世物として町の中を巡り、覗きにきた客と会話を交わした。二人には別々の配給カードが与えられていたが、食事は一枚の皿を共有した。投票権も別々に持っていたが、銀行で共同名義口座を開くことは拒否されたという。

ガンガとヤムナは多くの点でその性格を異にし、しばしば喧嘩をすることがあった。ガンガは魚を好み、ヤムナは肉を好んだ。夜になるとガンガは読書や音楽を聴くことを好んだが、ヤムナはただひたすら眠ることを好んだ。ガンガの好きな俳優をヤムナは嫌い、別の俳優を好んだ。しかし二人は一人の夫を"共有"した。ガダダーと言う名の彼女らの夫は、もとはサイドショーで働いていた男であり、彼女たちが共に最も愛した男だった。二人がある日、どちらのことが好きかを夫に尋ねると、夫は卒なくこう答えたという。「二人のことを同じだけ愛している」

1993年、二人は子供を出産した。帝王切開による難産の末、生まれた子供は生後数時間で死亡した。二人はその後も子供を持つことを望んだが、医師は彼女らに妊娠は二人の死に直結する可能性があるとして止めたという。

2003年には、再び二人のニュースが世界を巡った。それはイランの有名な頭蓋結合双生児、ラレー・ビジャニとラダン・ビジャニがシンガポールで分離手術を受けたが失敗し、死亡したときのことである。ガンガとヤムナは彼女らの訃報を受け、自分たちは決して分離手術を行わないことを世間に向けて発表した。そして彼女らは「それは医学的リスクのためだけではなく、神の意思に反するからである」と話した。

「私たちは、それぞれ別々の人間です。同じ身体を共有してこそいますが、心は二つなんです」ヤムナは言った。

すると記者はガンガに聞いた。「あなたは一人なのか?それとも二人なのか?」

ガンガは答えた。「私たちのことを一人だと決め付けるのは、全くおかしなことです」