"胴体人間"と呼ばれたニコライ・ワシルジュイテシュ・コベルコフは1851年、ロシアに生まれた。先天的に四肢を欠損していたニコライは、普通の両親の14人目の子供として生まれたが、ニコライ以外の兄弟は皆正常な身体であったという。両親はまだ幼いニコライを人目から隠すようにして育てたが、ニコライは切り株状になった腕を巧みに利用し、自力で生きていく方法を学んだ。その後牧師に教育を受け、1870年、19歳の時にサイドショー・ビジネスに参加した。
1876年にはウィーンの女性、アンナ・ウィルフェルトと結婚し、最終的には15人の子供をもうけたが、4人が幼くして死亡したといわれる。伝えられるところによれば、コベルコフは酒癖が悪く、いつも酔っぱらっては妻と子供たちを口汚く罵っていたといわれる。
1905年にはショーから引退してウィーンへ移住し、1933年にこの世を去った。